胃がん克服ママいずみの胃がん体験といのちの話

いのちだいじニスト 残った3分の1の「胃の力(いのちCOLOR)」をお見せします

胃がん×働き方について

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EATCHA(教員セミナー)登壇

先日、教員の働き方について語り合うセミナーに参加してきました。そこで、30分ほど登壇の機会をもらえたので、病気になった経験やそこから働き方が変化した話をさせていただきました。

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  • 胃がんになった話(思考停止→つながりの大切さに気づく)

 

2014年11月、胃がん宣告を受けました。

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自分ががんになっているなんて、信じられませんでした。なんかしっくりこない感じはしていましたが、薬を飲んでいたら平気だったので、こんなに大変なことになっているとは、びっくりでした。宣告を受けた日、病院からの帰り道で、ふと思いました。「夫や子どもががんになるよりか、自分が病気になった方がマシやなぁ」と。その時は、なんとか前向きに考えるようにしていました。

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しかし、現実はどんどん悪くなっていきました。宣告から4日後、精密検査の結果では、胃カメラ検査で判断よりも、もっとがんが進行していて、助かる確率が低い「スキルス性の胃がん」であることがわかりました。発見が早かったので、手術で助かるとは言われました。

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手術後の細胞検査では、臓器ギリギリまでがんが進行していたことがわかりました。幸い、胃の外側には飛び出しておらず、「転移なし」と診断されました。細胞検査をしたところは大丈夫でしたが、他の箇所から、がんが飛び出している可能性があるため、抗がん剤治療をすることを提案されました。

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私はてっきり手術で治療は終わりだと思っていました。現実を受け止めることができませんでした。すっかり追い詰められてしまって、前向きに考えられることができなくなりました。学生時代から哲学や仏教を学んできていたのですが、その知識が全然通じなかったです。手術後は、寝ているだけでも、体のどこかがつねに痛かったです。少し回復したら、食事トレーニングがはじまりました。食べるとすぐに気分が悪くなりました。一番つらかったのは、子どもを残して死ぬかもしれないという恐怖でした。私は「これが【思考停止】ってことか」と、身をもって体験しました。

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そんな苦しい状況の中でも、私の中には「教師魂」が残っていて、この体験を総合学習のネタにできるって、考えもありました。どうなるかわからないけれど、また働くことができたら、そのときのために、日々の出来事や感情を詳しく書き残しました。

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生徒に伝えるために自分の気持ちを整理して客観的に書く作業をしていると、不安で不安でどうしようもなかった心が、落ち着き、冷静な自分を取り戻していることに気づきました。生徒のためだったのに、この書き出すという作業を通して、自分が癒されていました。話すということは、心の中の苦しみやマイナスな感情と距離をおけること、つまり離すことになります。

 

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胃がん手術から4か月後、抗がん剤治療をしながら、学校に復帰しました。総合学習の授業で、「胃がん体験」を生徒の前で話ました。生徒の感想文に「自分の家族もがんでした」という内容が多くて、びっくりしました。しんどいおもいをしている時は気づかなかったのですが、自分から話すことがきっかけで、同じような思いをしている人の声をきくことができました。そして、苦しいのは、自分だけじゃないことを改めて感じることができました。

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自分の苦しんだ体験を、次の世代のために、周りにいる大切な誰かのために、伝えることで、楽になれます。心から笑って話せるようになったとき、私はその苦しみを乗り越えられた時だと思っています。

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「働く」ことも同じ構造だと思います。私たちの職場(教育現場)は、毎日これでもかってくらい色んな問題が出てきます。その度にチームで(時には喧嘩ごしになる時もありますが)、課題解決に向けて知恵を出し合います。この作業がなければ、誰かの意見だけ、トップダウンだけだと、【思考停止した組織】になります。辛い気持ちを書きだしたり話したりすることも、他者と連携して働くことも、いっぱい頭を使います。私は、苦しいときほど、冷静に考えるように心がけています。私は自分の容量はたいしたことないと思っています。思い込みも激しく、時々すごいレベルのミスをおかします。この世から消えてしまいたくなるくらい落ち込みます。そんな時も、諦めずに小さな頭でどうしたらいいかを考えるようにしています。考えていくうちに、ちょっとずつ、冷静さを取り戻していきます。思考停止になっているときは、思考停止になっていることに、気づけないものです。胃がんのときに、嫌っていうほど味わいました。だからこそ、「思考停止なっていることに気づくためにも、頭を無理やり働かせていかな~」と。私が胃がん経験から学んだことです。

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まずは、自分が楽になるために、その苦しさを誰かに伝えてください。少し心に余裕が出てきたら、相手に合わせた伝え方を工夫しましょう。

 

  • 働き方が変化した話(信用貯金と仕事のやりくり)

 

私は抗がん剤治療中に職場復帰をしました。副作用の影響で、つわりのようなだるさと下痢に苦しみました。授業中や生徒対応しているときは不思議と平気でしたが、空き時間になると電池が切れたように動けなくなり、保健室で寝かせてもらいました。また、お腹が壊れっぱなしなので、よくトイレにこもっていました。悔しくて横になりながら、泣けてきました。「なんで、がんになったんやろう。こんな体で復帰してよかったんやろうか」そんな私に、同僚の先生たちは、優しい言葉をかけてくれ、常に気にかけてくれました。私は、あの時受けた恩は絶対に忘れません。はじめは受けた恩を返すために、周りのために動いて、声をかけたり、気にかけるようにしていました。だんだん、それが職場を「いい雰囲気」にしていることに気づきました。

 

 

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ただ、がむしゃらに他者につくすのは違います。思考停止した状態で、言いなりや指示通りに動くこと、それは単なる「バカなおひとよし」です。相手が求めていることは何かを常に考え、他者志向的に動けるようになりたいです。『GIVE&TAKE』の著者は、自分がもっているアイデア、労力、時間、人脈、お金などを相手の立場に立って提供をできる人は、信用が溜まっていく。で、いつか、その人が困っていると、周りがなんらかしら手を貸したくならざるをえない状況になるそうです。結局、与え続けていると、めぐりめぐって得るものが大きくなり、「最高の勝利者」になっていると表現しています。ここで言う、最高の勝利者とは、【つながり】の中で存在する人だと私は考えています。クイーンの『ボヘミアンラプソディ』の映画の中で、「We are the Champions, my Friends」のフレーズを聴いたときに、改めて勝利者は、一人じゃなし得ないことをひらめきました。最高の勝利者とは、つながりのある人生を実現した人に与えられる称号ではないかと、私は考えています。

 

胃がんをきっかけに、私の働き方は他者志向に変わりました。バリバリ働けなくなった時、周りに自分から助けを求めることができますか? 黙っていても、察して、あなたにすっと手を差しのべてくれる人が、今の職場にいますか? いざとなってからでは、遅いです。病気になった時、ものすごいヘマをしたとき、家族の介護が必要になったとき、子どもができたとき、あなたが100%の状態で仕事に取りかかれなくなったときに、いい雰囲気の職場なら何とかなります。私がそうでしたから。いざってときのために、元気なうちになるべく信用を貯金しておくことを提案します。

 

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私が、仕事や家事のやりくりをする一番の目的は、家でのんびりダラダラするためです。

抗がん剤の一年間で、「いつ体調不良が起こるか分からない」ってことを身に染みて分かったので、仕事は前倒しでやるようにしています。また、私の勤務先は通信制高校なので、カリキュラムは最低限です。そのため、私のキャパシティー内で収まる仕事内容です。

仕事中は、だいたい60%を目安に働いています。はたからみたら、80%ぐらいの働きに映っているかと思います。100%で働いてしまうと、帰宅後、ぐったりになります。余力を残して働くようにしています。常に全力で働いていると、イレギュラーな事案が起こったときにキャパオーバーしてしまいます。また、自分が、いっぱいいっぱいだと、他の人の動きを観察できません。周りの動きを把握しつつ、いつでもすっと手を貸せるようにスタンバイしています。

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行き詰まったなぁと思うときも、誰々のせいと思わないようにしています。どうしてそういう言動をとっているのかなど、構造や背景を考えるようにしています。そうすると、ストレスもたまりませんし、次の一手を打ち出しやすくなります。

最後に、6割の力で働くために、時短していることをあげます。参考になるかどうかはわかりませんが、工夫しながら働くことは楽しいです。一人一人が自分の職場環境を少しでも良くするために行動すれば、働き方改革は実現すると思っています。

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以上、胃がん克服ママいずみでした。

当日の原稿をそのまま貼り付けただけなので、分かりにくいところも多々あるかと思いますが、ここまでお読みくださり、ほんとうにありがとうございます。

 

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