手術
手術は腹くう鏡で10時間かかりました。胃の3分の2、胆のう、リンパ球をとれるだけ取ってもらいました。といっても、私は麻酔で寝ているだけでした。
夢の中で、赤ちゃんの泣き声が聞こえました。あとでそのことを看護師さんに話したら、夕方に帝王切開で一人生まれたそうです。すぐ近くで、生まれた命もあると思うと、見ず知らずな赤ちゃんの存在が励みになりました。
眼が覚めたら、ICUにいました。足には装置がつけられて、エコノミー症候群予防のためマッサージをしていました。腕には点滴が、お腹にはお腹の中の水を出すための管が通されて、身動きできない状態です。
麻酔がまだ残っていたので、うつらうつらしながら朝を迎えました。看護師さんが迎えに来てくれて、ベットごと一般病棟に運んでもらいました。
病室に戻ってからは、自分の足でトイレに行くように言われ、点滴の棒を杖代わり、ゆっくりゆっくり歩きました。一歩踏み出すたびに、お腹に衝撃がはしります。
寝ていても背中が痛くなり、痛み止めが切れたらお腹が痛くなるというサイクルで常に身体のどこかが痛いのです。
人間ってよくできていて、痛みは1カ所ずつだけ反応するそうです。
心の方は不安だらけでした。転移していたらどうしようかと頭がおかしくなりました。
手術で摘出した細胞を検査し、転移かどうか判定されます。結果が出るまで1週間ほどかかります。
何より辛かったことは、娘に会えないことです。手術後3日間は管だらけで身動きの取れない状態だったので、会いたかったけれど、そんな姿を子どもには見せないほうがいいと思い我慢しました。